雲雀丘の家
築40年を超える丁寧に建てられた風情ある平屋の上階に、新しい生活の場を「新築」。
傾斜地に建てられているため、階段を上がって玄関に入る必要がありましたが、施主様がご高齢で、今後外出が難しい状況になることが考えられました。
そこで階段を上がることなく平坦な道からアプローチできる2階を作ることを考えました。
思い出の溢れる、貴重な元の建物はそのまま残して次代の方の住まいとしつつ、当人の住まいは新しいステージの2階のみで生活できるように考えました。
来客の多い生活スタイルに合わせて、玄関を入るとパブリックスペースである大きなLDKを配置。
先代から引き継ぐ貴重な品々と、世界中を周って収集された品々を置くギャラリースペースとして、高い天井の大空間としました。
LDKからつながる眺望のよいバルコニーを建物の周囲にぐるりと配置、パブリック空間からプライベート空間、そして裏口へとゆるやかに動線をつないでいます。
古くなったから、不便になったから、という理由で価値ある建物を安易に取り壊すのではなく、そのまま残して新たな利用価値を与えつつ、住まいの要望をかなえました。
用途:専用住宅
計画地:兵庫県宝塚市
構造材:国産杉材、米松材
主な外部仕上げ
屋根:ガルバリウム鋼板立平葺き
外壁:窯業系サイディング、モルタル掻落とし(既存部分)
主な内部仕上げ
床:アッシュフローリング
壁:珪藻土クロス
天井:珪藻土クロス
竣工:2013年
※共同設計:いえしえん(都市・建築設計協同組合)